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日本性愛史・平安時代・お寺はBLパラダイス

category - 性愛史
2019/ 05/ 16
                 
日本性愛史・平安時代・お寺はBLパラダイス
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日本性愛史
平安時代(794年~1185年)
お寺はBLパラダイス
稚児003C

○稚児で肉欲を解消!
稚児001
 稚児と師僧

 男女の色恋の道が隆盛を極めたこの時代、男色=男同士の同性愛――即ちBL(ボーイズラブ)も盛んに行われた。

 特に盛んであったのが、寺院の中におけるそれである。

 寺院での男色は奈良時代から行われていたようであるが、同性愛を禁じるキリスト教と違い、日本の仏教界においては伝統的に男色が肯定的に考えられていた。

 仏教には〝女犯(にょぼん)〟と言って、女性と交わることを罪とする戒律(ルール)があるのだが、「じゃあ、男同士なら問題ないね」というなんとも短絡的な解釈で性欲の問題を解決したところがスゴイ。

 もっとも、この女犯は「性欲に惑わされない」ための戒律であり、それではまったくもって仏教本来の教えに反しているのであるが……

 (いや、そんな性交相手に関して男女の区別に〝こだわらない〟ところは、むしろ〝執着しない〟という御仏の教えに即しているのか……?)。

 また、〝女人禁制〟の仏教寺院というまったく女性のいない環境(※尼寺は真逆だが)であったことも、異性との恋愛の代替方法として同性愛に走りやすい下地を作ったものと推測される。

 ともかくも、そうしてBL上等であった寺院なのだが、それは「僧と僧」によるものよりも、「僧と稚児」によるものが主流であった。

 〝稚児〟というのは13~18歳くらいの少年であり、髪は剃らず、色鮮やかな水干(※子供用の着物)
を着用し、顔には化粧を施して見目美しくした美少年達である。

つまり、同性愛であるとともに、小年愛の意味合いもあったのだ。

 大人になるにつれ、どうしても体格や容貌が男性らしくなってしまうため、その稚児としての寿命は短く、19歳くらいになると静かに引退するのが常であったらしい(そのまま寺を去る者もあれば、僧になる者もいたようだ)。

 そうした花のように儚い寿命も、なおいっそう僧達の恋情に火をつけたのであろう。

 ちなみに一言に〝稚児〟といっても、それは上・中・下に分けられ、皇族や上流貴族の子弟が行儀見習いのために預けられた上稚児、才能を見込まれ、僧侶の世話係となった中稚児、雇われたり、売られて僧のものとなった下稚児がおり、この内、中・下の稚児が男色の対象となった。

 無論、皇族や上流貴族出身者の上稚児は対象外である(中には例外もあったかもしれないが…)。

 しかし、一般的に〝稚児〟と言った場合、それはほぼ〝僧侶の恋人役〟としての囲い者、〝恋童〟だった。

 そもそも、僧の身の回りの世話などは小坊主がすればよいのであり、出家もしていない俗人である稚児は寺院での修行生活において必要とされないはずなのである。


○別格!叡山ブランド
稚児002C
 稚児と契りを交わす僧

 そんな寺院(※主に台密――天台密教の寺院)内における稚児文化の中でも、他とは一線を画していたのが比叡山延暦寺のそれだった。

 他の寺院や貴族(※平安末期には貴族にも浸透)の間では稚児の眉目形(容姿)が重要視されたのに対し、比叡山の稚児は心遣いや学問などの内面が最重要とされていたところも大きく異なる。

 そのため、師である僧に囲われた稚児はたいへんな手間と金をかけて育てられたが、読み書きはもちろん、
和歌の道、内外の経典に通じることが求められ、襖の開け閉め~歩き方までその立ち居振る舞いも美しくなければならず、私語・噂話・他人の批判・高笑いは禁止、勝負事・賭け事・喧嘩も禁止、見苦しいもの、品のないものを目にすることも憚られ、武者絵すらも相応しくないと遠ざけられた。

 また、そうは言ってもやはり見た目も大切であり、朝は早くに起きると楊枝(※今の歯ブラシみたいなもの)で歯を磨き、世話係によって髪を結い上げ、化粧を施された。

 さらにザクロの化粧水で顔や手足を洗ってきめ細かな肌を目指し、鼻の低い者は毎晩寝る際に板で鼻を挟んでいたそうである。

 こうして、『マイフェアレディ』の如く完璧な存在として仕上げられる稚児であるが、〝永年〟という法要や季節の祭事の後に行われる宴会において、美しく着飾った稚児が必ず舞を踊ったことから、この宴は〝稚児さだめ〟とも呼ばれていた。

 しかし、彼ら稚児は単なる性愛の対象ではない。

 稚児は観音菩薩(如意輪観音)の化現として崇拝され、稚児と性行為で結ばれることは悟りへの近道であると考えられていたのである。

『弘児聖教秘伝』(※後述)という台密の秘伝書には、
 
「稚児を持つ者は早く仏果菩提を証す。善く稚児を持つは斯くの如く、悪く稚児を持つは魔道の種因なるべし。稚児は聖の為なり。稚児なくんば聖あるべからず、聖なうして稚児あるべからず」

 とも述べられている。

 そのため、稚児を聖なる観音菩薩の化身へと変える〝稚児灌頂〟という儀式を行うまでは、その稚児と交わることは禁じられていたようだ。

 天台宗の大僧正で直木賞作家でもある今東光(1898~1977年 「昭和の怪人」と称される)は、その修業時代、比叡山麓の戒蔵院で前述の『児聖教秘伝(別名:児(ちご)灌頂)』なる奇書を発見し、それを題材に『稚児』(鳳書房 1947年)を執筆したが、この書は恵心僧都作と云われるもので、そこにはまさにこの〝稚児灌頂〟式次第が書かれたものであった。

 それによると、〝稚児灌頂〟は通常の灌頂儀式(※密教の入門や免許皆伝に行う、頭に水を注ぐ儀式)とほぼ同様の内容のものであるが、如意輪観音の種字(※その仏尊を表わす梵字)を本尊として行われ、特殊なのは灌頂を受けた稚児に化粧道具、宝冠、稚児装束が与えられ、その後、師の席へ移動して観音菩薩として師から礼拝される形となることである。

 そして、灌頂により稚児が観音菩薩へと化したら、いよいよ初めての〝床入り〟――情交となるのだが、師のナニを受け入れる稚児の菊座(肛門)は仏の座す八葉蓮華に喩えられ〝法性花〟と呼ばれており、師によって「開かれる」まで……つまり、開通式が行われるまで、この仏を表わす清浄無垢な法相花はまだ仏性を開顕してはおらず、蕾の状態であるとされていた。

 その〝法相華〟の手入れについても「隠所の作法」に関する口伝があり、先に挙げた今東光の言葉を引用すると、


「稚児は先ずよくよく自らの法性花を清浄に洗い「柔らかな紙を能く揉んで拭い油もしくは唾を指頭に塗って法性花に入れ、よくよく誘うて後に頭指と中指と、次に頭指と中指と無名指で誘うて置かなければならない」


という。

 つまり、常々清潔にしておくとともに、初心者では肛門の括約筋がキツく、なかなか師のイチモツを受け入れることができないため、よくほぐしておくことが求められたのである。

 今東光によると、他にも法性花をほぐす訓練として「左右の腹わたを掴んで身をよる」という按腹法もあったらしい。

 また、滑らかにイチモツが入るよう、丁子(クローブ)の潤滑油や、黄蜀葵根(とろろ葵の根)や通和散(とろろの粉末)、一分のりや海羅丸(海草のフノリを何度も和紙に染み込ませたもの)を口内で噛み、唾液に溶かして〝ぬめり薬〟にしたものを稚児の肛門と師僧のナニに塗ったようである。

 こうして万事準備が整えばようやくお待ちかねの挿入であるが、閨(ねや 床の中)でもやはり作法があり、不躾なふるまいや会話は一切禁止であった。

 そのため、意思疎通にあたったは指で合図をし、〝指取十の秘事〟というものが稚児灌頂の際に伝授された。

 これは例えば、頭指(ひとさし指)・中指二本を取れれば「只今会わん(挿入する)と思う心」、大指(親指)・小指二本を取れば「口吸わん(キスする)と思う心」といった具合である。

 他にも、背中を押せば後ろ向きの合図、ヘソの辺りを押せば前向きの合図というように、無言のまま指で会話をしながら師僧と稚児は交わったいたようだ。

 しかし、稚児としていられる時間は短い……こうして丹精込めて育てた稚児との恋愛も4、5年という短さで終わる儚いものだったのである。

○「~丸」は稚児の証
牛若丸001
 牛若丸と鞍馬山の天狗


 ちなみに、稚児灌頂を受け、観音菩薩の化身である正式な稚児となった者は名前の最後に「丸」の字を付けることが許された。

 つまり、名前に「~丸」と付いている者は、稚児灌頂を受け、寺院で僧の性的な相手となった稚児と見てほぼ間違いがない。

 とするならば、源義経は妙妙を「牛若丸」といい、「天狗の稚児になった」などという伝説もあるので、おそらくは預けられていた鞍馬山で灌頂を受け、こうした稚児となっていたのであろう。

 他の武士にもまま見られるように、もしかしたら後の義経と家臣達との強い結びつきの背景には、このような男色を通じての肉体的な繋がりもあったのかもしれない。

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